買い物も一段落し、そろそろ帰り夕食の支度をしなければと美貌の青年が言い、優しげな風貌の青年が、食べて行っても良いかと聞く。何を今更と玲瓏な相貌の青年が返す、ちなみに今日の夕食は麗しの青年手製の和食である。あとげなさの残る青年が食べに来る事を前提にメニューが組まれている。
ルルーシュにとって最愛の妹と幼馴染みのスザクと食卓を囲む事は時間が許す限りは行いたいことであり、また自然なことなのだ。
「あれ?何か朝より人が多い?」
朝最初に訪れたチャリティイベントの広場に戻って来たのだ。
「本当だ…何かあるのか?」
「ちょっと見ていく?」
「人が多いのはあまり得意ではないからい…」
「本日最終日につき、ただいまより在庫一掃セールとします!」
「チャリティです!チャリティですので払える金額のみ置いていって下さい!!」
「ぇえーい!袋1枚100円でやるから!!好きなだけ詰めてけ」
「……。」
「……。」
「…何か凄いね」
視線が広場及び声のする方、むしろ本から動かないルルーシュにスザクが声を掛ける。
「…そうだな」
「ルルーシュ」
「何だ?」
「僕が見たいから見に行かない?」
「…そうだな」
ルルーシュってお金ないわけじゃないのに節約っていうか、安売りが好きだよなぁ…そんなとこも好きなんだけど。
「何をにやにやしている」
「なんでもないよ」
「……。」
拗ねたように歩調を早めるルルーシュ。スザクがなんて言って宥めようかな?と考えていると
「お兄さん達良い所に来たね」
「手に取った本は全部持ってて」
「片付けるの大全部変だから持っててよ」
などとスタッフ達から次々と声がかかる。若干本音が見えるのはご愛嬌だ。
「どうするルルーシュ?」
「とりあえず一周見たい…さっき買うのを止めた本がまだあったら欲しい」
「了解」
「スザクも自由に見て良いんだぞ?せっかくだから何か…」
「ルルーシュが選んでくれる?」
「……。」
微妙な顔をしているルルーシュに更に
「そういう日なんでしょ?」と追い討ちをかける。
「良さそうなのがあったらな」
本を選ぶために顔を伏せられてしまいルルーシュの顔が見られなくて残念だと思ったが
「うん」
ルルーシュの耳に赤みがさしてるのが見えてスザクはご機嫌だった。
実用書、一般書、小説、文庫などジャンル別に分かれた机を次々と見ていきながら、自分の興味がある本があるとスタッフに声を掛けていた。が
「何か声を掛ける度にいいから持っていけと言われるのだが…」
「片付けたいんだね」
「あまり手放しに持っていけと言われるのもあれだな」
「有難く貰ってっちゃえばいいんじゃない」
「それもそうなんだが…」
本は、かさ張るし重いのが難点だ…。
ルルーシュから聞かせようとはしていない本音がこぼれる。
「欲しい物は貰っていきなよ、せっかくなんだし。それに重かったら僕が持つよ?」
「…それはそれで屈辱な事を悟ってくれ」
「えぇールルーシュが好きな物を手に入れる手伝いが出来るの、僕は凄い嬉しいのに」「俺はどう返したらいいんだ?」
「へ?」
「天然め」
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